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肩のトレーニングを考える

  • 執筆者の写真: NAOKI TAMURA
    NAOKI TAMURA
  • 2024年10月12日
  • 読了時間: 7分

「大きな肩を手に入れたい」

これは筋トレをする方なら誰しもが思うことではないでしょうか。

ジムで働いている時も「そのトレーニングは勿体無いな」「もっとこうすればいいと思うけど」と思うことが多々あります。


ということで、今回は肩を大きくするトレーニングについて考えていこうと思います。



トレーニングの原則「使う筋肉は多い方がいい」

これは勘違いされがちなのですが、トレーニングをするときは使う筋肉以外は固定をするためにある程度力を発揮している状態が好ましいです。「使っている筋肉を意識して」という考えから「使っている筋肉以外は脱力する」という考えになるということがあります。これは逆です。

対象とする筋肉だけを動かしたいから、それ以外はしっかりと固定する。というのが正しい考え方になります。


これから肩のトレーニングを解説しますが、よくあるエラー動作として骨で腰を支えるような過伸展の動作が見られます。これは腹筋の筋肉が抜けているという評価になりますし、腰へのストレスが多くなりますのであまり好ましいことではありません。

ミリタリープレス、ショルダープレス、サイドレイズなど、肩のトレーニングでは体幹を固めることが重要な種目が多くあります。(というかほぼ全部)しっかり体幹を固めることを意識しましょう。



具体的な固め方 Zone of Apposition

ZOA(Zone of Apposition)というものがあります。

これは横隔膜の位置を正しい位置にしましょう的な考え方で、反り腰やリブフレアなどでは横隔膜の前方が上がってしまい、呼吸が浅くなってしまいます。

また、横隔膜を下げた時の圧力が骨盤ではなくお腹の方向に抜けてしまうため、腹圧が前方へ強くなってしまいます。

かなり重たい負荷を扱っていたりすると、腰痛の原因にもなりますのでこのZOAというものは押さえておいて損はないでしょう。

別のサイトのリンクを貼っておきます。

”「ZOA」たりてますか?”



ショルダープレス

さて、ではトレーニングに移っていきます。

まず肩のトレーニングで大事にしたいのはプレス系です。

最近はYoutubeなどの影響でサイドレイズを重視する初心者の方がいますが、まずはショルダープレスをやりこむことをお勧めしています。

トレーニングの原則で過負荷の原則がありますが、それと同じで最初は高重量を扱える種目がいいです。

少なくとも初心者のイメージであれば26kgくらいでショルダープレスを10回行えるようになればそれなりの肩にはなっているはずです。


まずセッティングですが、インクライベンチのお尻側を1〜2段階、背中は90度の一歩手前か二歩手前にします。

90度では垂直すぎて方がハイファイブポジションという少しよろしくないフォームで行うことになりかねないです。

むしろ考え方としてはインクライベンチプレスの延長線上、多少大胸筋の動員もあっていいじゃないかくらいのライトな感じで考えるといいでしょう。

お尻の位置などは好みにもよりますが、重量が重くなるとオンザニーで肩の上にダンベルを持って行く時、2段階あげた場合は少しやりにくいので僕は1段階で行なっています。知り合いのトレーナーは2段階派です。


ダンベルを下げるのは肘の角度が90度くらいから始めて、慣れてきたらもう少し深くまで降ろしていいかもしれません。

ただ、10レップ中の残り3レップなどで深く降ろしすぎると、もう少し浅ければ3レップできたのに深く下げたことにより潰れてしまったとなりますので、その辺りはボリュームを稼ぐことを優先して浅くしてもいいかもしれません。


今回は肩を大きくすることを目的としていますので、レップ数は8〜12回、3〜6セットくらいで組むといいでしょう。

また、初心者の方で肘の角度を無理に開いて90度にする方がいますが、最初は無理のない角度、つまりダンベルが八の字を描くような角度で動作を行なってもいいと思います。

引用:C NSCA JAPAN Volume 25, Number 10, pages 34-45

肩周辺の痛みの予防と強化のための エクササイズの修正法






サイドレイズ

サイドレイズはレッグエクステンションに近い動作構造をしています。

そのため、挙上するほど三角筋への負荷が増大するという特徴があります。

また、三角筋は30度から強く上腕を引くことができます。

0度からは30度までは棘上筋の作用なのですが、この辺りはまた別の記事で詳しく述べるとして、要は初心者のうちからかなり重たい重量でサイドレイズを行うと、上腕骨と肩甲骨の間の隙間を埋めてしまうような動作になってしまい、インピンジメント症候群という怪我に繋がります。

サイドレイズの重さを決める基準は、最大挙上位置(90度)で止めることができるかできないかくらいの重さを目安にするといいでしょう。


また、最初のうちは軽い重量をお勧めするもう一つの理由に、フォースカップル、肩甲骨ディスキネシスというものがあります。

これは肩甲骨を動かす様々な筋肉の協調性があるかどうかということです。

もちろん初心者の方はサイドレイズという動作を初めてするわけですから、協調性も何もありません。そのような状態で重たい重量を扱うと、筋肉の協調性がうまく発達せず、むしろ変な協調性が癖づく可能性すらあります。


軽い重量であればレップ数やセット数を増やすことで十分に肩を発達させることができますので、最初は見栄をはらずに行うといいでしょう。


また、中級以上になっても解剖的な特徴が変わることはありません。

肩甲骨の安定性は確保されているが、疲労により三角筋がうまく働かないのに無理やり挙げる。こういったことは先ほどと同じくインピンジメント症候群になる可能性がありますのでお勧めしません。


そのような場合は、要は上腕骨頭の上方偏位を避けれればいいので、体を斜めに構えて行うワンハンドサイドレイズやケーブルサイドレイズで追い込むといいでしょう。



プログラムと考え方

レップ数、セット数を決めるにあたっていくつか前提があります。

一つは「筋肥大が目的であること」もう一つは「怪我のリスクを避けること」です。

筋肥大が目的なので、三角筋のオールアウトを目指します。しかし、何でもかんでも高重量でしていると、先ほどの話のように怪我のリスクが高まりますのでちょうどいい重さを探したいです。


そこでまずはショルダープレスで高重量を扱います。

ハイファイブポジションを避けてしっかりとしたフォームで行っていれば、高重量を扱った際に怪我よりも先に筋肉としての限界がきます。

オンザニーで持って行く時の怪我には気をつけつつ、8〜12レップできる重量を選ぶといいでしょう。

この時に大事な考え方としては、セット中の失敗を追いかけないということです。

例えば、10回できる重さを扱っている時、7回目で降ろしすぎたために9回で潰れたとしましょう。その時10回目を無理に頑張るのではなく、本来3セットの予定だったのを4セットにするといった感じで「元気になって再挑戦」という方法を取ります。

筋肥大が目的の場合は、そこそこの重量でセット数を重ねる、つまりボリュームを確保するトレーニングが一つの正解です。

その考えのもと、一つ一つのセットを大切にするより、全体としてトレーニングボリュームを確保できたかということに重点をおいた方が筋肉は成長します。

また、肩の筋肉は不安定ですから、できるだけ筋肉が元気な状態で動作をするのが好ましいです。


つまり、フォームが崩れてでも1〜2回のために頑張るより、フォームを維持しながら1〜2セット増やした方がいいということです。


もちろんフォームを維持して限界まで追い込める方はそうして構いません。


ショルダープレスで一通り限界まで追い込めたあとはサイドレイズです。

まずは15回くらいできる重量で3セットほど行いましょう。

何回かしてみるとわかりますが、三角筋を使っている感覚が出てくるはずです。


その感覚を得ることができてから高重量を扱うとかなり質の高いサイドレイズを行うことができます。

また、高重量を扱う場合は、多少僧帽筋の動員が入るのは構いません。

僧帽筋も動員しつつ、三角筋の意識が外れないように動作を継続してください。

重さを上げていくと意識が途切れる重さに出会うと思います。その場合はその重さは重すぎので扱う際は気をつけなければなりません。


以下にプログラム例を載せておきます。


ショルダープレス

・8レップ×3セット

・10~12レップ×5セット(ラスト2セットは80%ドロップセット)


サイドレイズ

・15レップ×3セット(RIR3)

RIR=余力、この場合は15回できるけど12回でやめるという意味

・8~10レップ×3~5セット


ワンハンドサイドレイズ

・10レップ×3~5セット


肩を大きくするには長い目で見てトレーニングする必要があります。

そのためには安全かつ効果的な方法を選んでください。








 
 

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