AIとピッチング対談
AIとピッチングメカニクスについて意見交換をしたので、それをブログにしました
最近、AIとピッチングメカニクスについて意見交換をしていました。
いわゆる「球速を上げる方法」や「正しいフォーム」の話ではなく、
もっと手前の、
そもそもピッチングにおける“最大”って何だろう?
という問いから始まった話です。
きっかけは、トレビシェットを見たときの違和感でした。
トレビシェットは、なぜあの位置で石を放すのか
!https://www.real-world-physics-problems.com/images/physics_trebuchet_1.png
https://i.sstatic.net/a1jlN.png
トレビシェットでは、
- 重りは下に落下し
- アームは回転し
- 石は、アームがほぼ垂直になった位置でリリースされます
物理的にはとてもわかりやすい構造です。
- 重力は一定方向
- アームは剛体
- 支点は固定
そのため、
重力ポテンシャルエネルギーが最も効率よく運動エネルギーに変換される位置が
ほぼ「垂直付近」になります。
ここでふと、こんな疑問が浮かびました。
なら、ピッチングも
腕が垂直に近い位置でリリースされる方が
球速は速くなるのでは?
見た目は似ている。でも、構造はまったく違う
!https://treadathletics.com/wp-content/uploads/2019/02/armslot.png
https://miro.medium.com/0%2AVeQdmR4Tr9diqIJ_
!https://www.ace-pt.org/wp-content/uploads/2013/06/phases_of_throwing.jpg
確かに、速い投手の映像を見ると、
- 腕は高い位置を通過し
- 一瞬、垂直に近い形に見え
- その直後にリリースされている
ようにも見えます。
ただ、AIとのやり取りの中で整理されていったのは、
トレビシェットは「位置」で最大が決まるが、 ピッチングは「タイミング」で最大が決まる
という決定的な違いでした。
ピッチングにおける「最大」は、形ではなく瞬間
人間の身体は、
- 骨盤
- 体幹
- 肩
- 肘
- 手首
という多関節構造でできています。
トレビシェットのように
一本の剛体アームではありません。
ピッチングで起きているのは、
- 下半身と体幹が先に動き
- 体幹が減速し始めた瞬間に
- 腕が「置いていかれる」ように走り出す
という現象です。
このとき肩は、
最大外旋位に達します。
ただし重要なのは、
最大外旋は「溜め」ではなく
すでに体幹の仕事が終わった結果として現れている位置
だということです。
なぜ「垂直で叩きつける」と速くならないのか
!https://treadathletics.com/wp-content/uploads/2016/07/Screen-Shot-2016-07-22-at-1.21.13-PM.jpg
もし、
- 腕を垂直まで持っていこう
- そこで一気に振ろう
とすると、何が起きるか。
多くの場合、
- 体幹から腕へのエネルギー移行が止まり
- 肩や肘で無理に加速し
- 球速は思ったほど伸びず
- 再現性も落ち、故障リスクだけが上がる
という結果になります。
これは、
最大を「作ろう」とした瞬間に、流れが分断される
からだと思います。
今回の意見交換で一番しっくりきた言葉
AIとのやり取りを通して、
個人的に一番しっくりきた表現はこれでした。
ピッチングは、 最大を出す動作ではなく、 最大が起きる条件を整える動作である
最大外旋も、リリースも、
「狙って作るポイント」ではなく
通過点に近い。
だからこそ、
- 力感は薄いのに速い
- 投げた感じがしないのに球が走る
という感覚が生まれるのだと思います。
おわりに(たむ研として)
今回の話は、
「正しいフォームはこれです」という結論を出すためのものではありません。
むしろ、
- なぜ形を真似ても上手くいかないのか
- なぜ頑張っているのに球速が伸びないのか
- 何を“足す”より、何を“邪魔しない”か
を考えるための思考ログです。
ピッチングは、
力の競技というより
条件設計の競技なのかもしれません。
また面白い問いが出てきたら、
その都度、思考の途中として残していこうと思います。