また最速の研究
最速についての考察:動き出しに“順番”は本当に必要なのか
相変わらず「最速とは何か」というテーマを追いかけている。
正解というより、僕にとっての“最速”を丁寧に観察し続けている、という感覚に近い。
今日はその中で気づいていることを、少し長めにまとめてみようと思う。
1. 僕にとっての最速の定義
僕が考える最速とは、
瞬間の速度の大きさ(km/h)ではなく、「0スタートから目的地に到達するまでのフレーム数が少ないこと」
を意味している。
例えばジャブのようなパンチを想像してほしい。
自分をスローモーションにした時によくわかるのだが、拳が前へ出るより先に、
- 体幹の緊張
- 肩周りの微細な収縮
- 肘や前腕の反応
こうした「内部の準備動作」のほうが先に起きてしまう。
これは自然なことだけど、同時に「遅さの原因」にもなっていると感じている。
2. 体幹を介さず“先端が動いてしまう”ほうが速いのでは?
ここで僕がよく考えるのが、
「本当に体幹の準備が必要なのか?」
という点。
もちろん筋力発揮の観点では体幹の働きは重要だ。
だが“到達の速さ”だけに絞って考えた時、
先に動くべきは拳の先端そのものではないか?
という仮説が生まれる。
0フレーム時点で拳が動いているのか、
0→15フレームでやっと拳が動くのか。
比較するまでもなく、前者が速い。
ここで僕が注目しているのは、
「体幹主導なら速い」という教えが絶対ではないかもしれない
という点だ。
体幹主導の動きにも速さはあるが、
拳主導には拳主導の“別の種類の速さ”がある。
3. 実験するとわかる:未訓練者はまず避けられない
先端から動き出すパンチを実際にやってみると、
未訓練者はまず避けられない。
これは単純に、
相手の身体操作にも順番があるからだ。
相手が避けようとすると、
- 顔に「危ない」という認識が来る
- 体幹が反応する
- やっと首が動き始める
こちらが20フレームで届いてしまうのに対し、
相手は20フレームでまだ「動き始め」なのである。
これは拳でも指でも同じだ。
最小単位での実験をすればすぐに実感できる。
4. 起こりが消えるという副次効果
拳の先端だけが動いてくるので、
相手には「気持ち悪い軌道」に見える。
これは、よく言われる
「起こりを消す」動き
と一致している。
肩が動かない、目線が変わらない、呼吸の変化もない。
そのまま拳がスッと出てくる。
伝統派空手の突きが独特の威力と速度を持っているのも、
この構造があるからだと感じている。
そして面白いのは、
先端主導でも威力はしっかり出る
という点である。
速さと威力はトレードオフではなく、
構造次第で両立し得る。
5. 「先端から動く」の次を考えてみる
ここからが今日の本題。
拳 → 体幹 → 脚
という順番をなくして、
拳の先端を0フレームで動かすところまでは達した。
では次は何があるのか?
居合に置き換えて考えてみるとわかりやすい。
刀身が動きたい、鞘が動きたい。
だから刀身と鞘の両方が0→1で動く。
そこでふと疑問が湧いた。
「そもそも“順番”でなければいけないのか?」
刀身と鞘が1で動くのなら、
身体の他の部分も1で動いていいはずだ。
6. 身体は通り道・変圧器であるという視点
僕は身体を“通り道”や“変圧器”として捉えている。
だからこそ、
動きたい場所があるなら、逆側も同じだけ動く必要があるのでは?
という仮説が生まれた。
つまり、
「逆側のベクトル」
である。
7. 先端だけが行きすぎると崩れる → 逆側でバランスを取る
拳の先端だけを高速で送り続けると、
ある地点で身体のバランスが崩れる感覚になる。
これは当然で、
身体の構造上どこまでも引っ張れるわけではない。
じゃあバランスを崩さずに前へ出続けるにはどうしたらいいのか。
それは、前へ行く分だけ逆側が動く構造
だと思う。
螺旋構造の身体なので単純な前後ではなく、
上下・斜め・捻じれなどを含むが、
そこで僕が意識しているのが、
「軸の位置がどう動くか」
である。
8. デッドリフトで例えるならこうなる
デッドリフトでバーを引く瞬間、
上半身は上へ行く。
だがその瞬間、
下方向にも“強いベクトル”が生まれる。
これはあくまで、
身体とバーベルが合成された一本の軸に力が通るときの自然な現象だと思う。
力が上へ発揮された瞬間、
軸の反対側(下)にも力が走る。
僕はこれを手がかりに、
居合やパンチの最速にも当てはめている。
9. 軸を中心に“割れるように”使う
刀身が前に飛び出すなら、
同じだけ逆方向に軸の反対側が引かれる。
するとどうなるか。
軸を前へ送り出しつつ、
軸を中心に身体が“割れていく”。
この構造が生まれた時、
- 遠い間合い
- 高い威力
- 起こりのない動き
- 高速性
これらが同時に成立するように感じている。
10. 結論:最速の鍵は「順番をなくすこと」かもしれない
今の僕の仮説をまとめるとこうなる。
- 動かしたい部分が0→1で動く
- 逆側が同時に0→1で動く
- 身体はその邪魔をしない“通り道”にする
- 結果として「順番が消える動き」が生まれる
居合は特に複雑で奥が深いので、まだまだ研究の余地はあるが、
「動かしたい部分の最短ルートを、身体が邪魔しないように通す」
という視点は強力な鍵になる気がしている。
また研究して、進んだら続きを書こうと思う。