重心移動、中心移動

重心を移動させて足を出す「遊び稽古」があります。

直立した状態から前に重心を移動させていき、「もうダメだ、倒れる!」というタイミングで足が自然に出てしまう。
あの現象です。

もちろん、そこまで我慢する必要はありません。

でもこの稽古には、いくつか面白い気づきがある気がしていて、今回はそれを書いてみます。


「力を使わない動き」と、足が勝手に出る瞬間

この遊び稽古でまず気づくのは、足が出る瞬間、力感がほとんどないことです。

ここで言う「力を使わない」とは、
力感を持って筋肉を動かさないという意味です。

もちろん、筋活動や足裏のテンションは発生しているはずです。
ただ、それを「やってやろう」としない。
結果として、必要最小限の活動に任せられている状態になる。

たとえば、

みたいな動きをしていない限り、この「倒れるような動き」は、かなり“力を使わず”に起こっていると言えると思います。


足が出る前に、すでに「中心」は動いている

もうひとつ大事なのは、足が出る瞬間だけではなく、
その前段階(頭や胴体が動き出すところ)も同じ構造だということです。

足が勝手に出る前に、すでに身体は傾き始めている。
つまり、重心や中心が動き出す瞬間がある。

この「中心が動く瞬間」に、力感が少ないまま動けていると、
足はあとから“反応して”出てくる。

この順番が、僕には重要に感じます。


「相手に溶ける」「空間に溶ける」と、中心の感覚

最近は「相手に溶ける」「空間に溶ける」ということを意識しながら稽古しています。

腕立て伏せやベンチプレスでも、腕の力を抜こうとすると、
結果的に**“中心の力”しか使えなくなる**感じがします。

この中心は体幹の中にあることもあるけど、
時には体の外に“現れる”ような感覚もあります。

いわゆる「見た目ではわからない世界」の話です。


重心が1cm動くなら、足も1cm動いていいのでは

前に倒れる遊びが成り立つなら、逆にこうも言える気がします。

重心が1cm動くとき、上体だけが傾くのではなく、足が1cm動いてもいいのではないか。

下半身が固まっていれば、ピサの斜塔みたいに上体が傾くだけになります。
でも、中心の移動に即応できる状態なら、足が反射的に“出ていく”。

この「中心移動に対する即応」を作っていくと、
足だけじゃなく、腕や体捌きにも応用できそうだと思いました。


途中だけど、ここに「力を使わない力」の匂いがある

まだ探求の途中です。

でも、これが「力を使わない力」や、
「腕や足を使わない動き」の本質に近いのではないか、と感じています。

常にこの状態で動けるわけではない。
だけど、こういう動きができると、相手の見え方も変わってきます。

手が出る、肩が動く、という表面的な変化ではなく、
目に見えにくい“中心の動き”が先に見えるような感覚がある。

中心が動かない限り、人は前に出られないし、威力も乗せられない。
そう考えると、出鼻を抑えるとか、崩すべき方向が見える、ということも起こり得るのかもしれません。